神々の乱心展を見に行く前に

3月21日、小倉リーセントホテルで

松本清張の「遺言」『神々の乱心』を読み解く 
著者講演会 清張と宮中 

原武史 明治学院大教授
の講演を聞きに行って来ました。

原さんは日経新聞の社会部記者で宮内庁詰めだった

経験もある日本政治思想史の学者で、

「大正天皇」、「昭和天皇」などの著作がある

東京都ご出身の48歳。


俳優の中村雅俊さんと元首相の細川さんを足して2で割ったよ
うなお顔で(笑)とても熱いお方のようにお見受けしました。

また、今月の文藝春秋4月号に最新の原さんの書かれた松本清張
・昭和史発掘を発掘するという内容の文章が掲載されています。
ご本人も講演内で何度も紹介し参照してほしいと言われていました。

さて本題ですが、写真、録音は駄目ですよと言う事で、メモしな
がら聞いていたのですが、いつのまにやら手が止まっていて耳と目
は原さんに集中。
そこで、この企画を教えてくれたTさんのレポートから少々抜粋さ

せていただきました。

小説本体だが、最初の数行を読むだけでもビビッとくる衝撃がある
と鉄道に詳しい原さんは力説する。まず、最初に東武東上線ですよ。
その先には秩父があるんです。秩父宮です。出てくる駅は、梅広 
大本教が匂います。東松山にあるとする月辰会本部。吉見百穴があ
りますよね。登場人物には秋山から名を変える平田がいる・・・
これは平田篤胤でしょう。そうなんです。最初に全部入っているわ
けです。最初の数ページで紡ぎ出される清張ワールドについてこれ
る人は相当な読者ですよ。

そして、清張の一般人は決して入れない宮中の情景描写の精緻さ
は驚かされる。まさに見てきたかのような描写だ、という。

清張は、時代が平成に移り、昭和の時代を書き留める必要性を感
じた。と原さんは論じていきます。

 月辰会は100%フィクションではない。
 女官長・・・島津ハル 実際の不敬事件との整合。
 記念館の展示にある実際の事件年表を参照してほしい。

 宮中の実態は当時、女のほうが地位が上であった。
 皇太后についた大量の女官がそれを証明している。

 糸島にある伊都国歴史博物館には、内行花紋鏡(ないこうかもん
 きょう)の実物がある。清張は、この鏡こそ三種神器のうちの1つ、
 八咫鏡(やたのかがみ)と同型である、と言っている。

 清張の深い知識が、宮中、道院、満州を配置し大本教などの
 新興宗教を絡ませる巧みさは見事だ。

 三種神器ニセモノ事件、新興宗教・神聖龍神会、月辰会・・・
 そうとう事実に立脚した構想なのだ。
 清張は「昭和史発掘」を書いていく時期に宮中のあることに気が
 ついたらしい。そこに新興宗教が入り込む余地が確実にあった、と。
 で、何かが起きるワケです。(Tさんレポートより抜粋)

とても奥が深いと感じさせられた講演でした。
清張生誕100年記念で無料。
ありがとうございました。