冬眠しなかった清張さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清張好き?な私に、福岡のNさんからお誘いをいただき
佐野眞一さんの講演を聞きに行って来ました。

遅くなりましたが、自分の記録用に残しておかなくちゃ〜
と言う事で、メモをたどりつつ・・・。

8月4日(82歳)は清張さんの命日。
清張さんがお亡くなりになって19年目。
昨年から今年にかけては生誕100年という事でイベントが目白押しでしたね。

東京では2月に「戦後史の闇をこじ開ける」というテーマで
講演をされた佐野眞一さんの2度目の講演会。
今回の演題は「戦後のジャーナリズムを駆け抜けた巨人・松本清張」。

合わせて、昨日は松本清張記念館、開館12周年記念講演会
ということで無料講演でした。
基本的には清張の会の方がメインのようです。

Nさんからお知らせをいただき、

ぎりぎりでの応募でした。(まだ会員ではありませ〜ん)

佐野さんはノンフィクション作家になる前は編集者だったとか。
東京新聞で「編集者の見た松本清張」を執筆連載し今秋ころに本を出版
されるそうだ。(そろそろかな?)

今回はジャーナリストの目を通し、また、他の多くの編集者の意見を取り入れ
その内容を時系列で詳しく語ってくれた。

高度成長時代の編集者、池島信平氏、寺田博氏、坂本一亀氏、宮田毬栄氏など、
清張さんとのエピソードを交え、その素顔を披露してくれた。
佐野さんの言葉の歯切れも良く、噛み砕いての内容に聴衆は良く理解できたの

ではないでしょうか。

高度経済成長期に遅咲きの作家としてデビューし、当時、週刊誌6本、月刊誌

8本、新聞3本の連載をこなしたそうだ。おそらく全作品は千を数えるだろうと。

だれでもが持っている怒り、怨念、悲しみなど、一億総中流と呼ばれた彼らの
行き場のない思いを清張さんはみごとに描き、それが、地方から中央に出てき

た男女の共感を得、また、孤独を癒したようだ。(連載週刊誌は通勤列車で読

むにはちょうどよかったらしい。)

それから、清張さんの小説の目線にも言及して、
司馬遼太郎氏は『街道の人』(峠から俯瞰して上から見る目線)、
清張さんは『鉄道の人』(車窓の目線で流れ行く風景を切り取る)、
と佐野さんは対照的に表現している。
さすが、旅行好きだった清張さんらしいですね!
2時間の講演だったがどの話も大変興味深かくまた機会があれば
話を聞いてみたい!という心に余裕ある時間を過ごした。

とくに心に残った言葉は

「読書も犯罪も同じもの」つまり、読書も犯罪も自分に負荷をかける。

本はインクのシミで出来ている。そのインクのシミを想像力で読み解くこと。

読後、本を閉じ、顔を上げる。そのとき世の中が1ミリだけ違ってみえる本

こそ、良い本だ。

う〜ん、納得。

会場のムーブは500席、8割程埋まっていたようだ。
清張さんのファンはさすがに年配の方が多く今回は若者の姿は皆無だったよ

うに思う。夏休みなのに若者はいったい何処にー!!!


ところで、最近は西海道談綺、小説日本芸譚、を読了。
今は形影(菊池寛と佐佐木茂索)を読んでいる。
SFや推理小説しか興味がなかった私が歴史ものや古代関係の本に
興味が出てきたのは清張さんのお陰かも?